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スープストックトーキョー オリジナルスプーン開発

気付かれなさを目指した、違和感なき静かなデザイン

2015年10月、スープストックトーキョーのオリジナルスプーン『Spoon for Soup』がグッドデザイン賞を受賞しました。​
新しいものを作り出すのではなく、現状をしっかりと見つめ直すというスタンスとともに、スープストックトーキョーが提供するスープの特性から導き出した「すくう心地」「頬張る心地」「ぬける心地」というコンセプトに忠実に作られたのが、この『Spoon for Soup』です。

日々お店でお客様たちが何気なく使用するスプーン。​普段使うものだからこそ、特徴的ではなく違和感なく使ってしまうような、静かなデザインを目指しました。このスプーンが日の目を浴びるまでには、一年にわたる調査・研究と開発のプロセスがありました。​

URL: https://www.soup-stock-tokyo.com/story/soupspoon/

すくう心地
頬張る心地
ぬける心地

「柳宗理を超えるなんて無謀です。」

とある日のスープストックトーキョー事業部会。​
– 「スープストックトーキョーは、よりモノヅクリにこだわっていきたい」​
– 「カップはオリジナルなのにスプーンが違うのはおかしい」​
そんな話題が持ち上がりました。​そしてお題は突然に。
「スープ専用のオリジナルスプーンを開発すること」​

創業時から店舗で使っていたスプーンは柳宗理デザインのもの。柳宗理といえば言わずと知れた日本プロダクトデザインの四大巨匠のひとりです。​柳宗理のスプーンに疑念を抱くことなく使っていた私たちは、答えの見えない試行錯誤が待っていると感じながら、プロジェクトをスタートさせたのでした。

実は違う。スープとスプーンの関係性。

まずは基本に立ち返る。とにもかくにも様々なスプーンを“試す”ことから始めました。​手あたり次第にスプーンを調達して、とにかくスープを食べる。集めたスプーンは百本近くに及びました。​すると大差ないと思っていたスプーンにも違いがあることが分かります。​

・ツボ(スプーンのすくう部分)の先が細くてスープをすくい辛い。​
・ツボが大きすぎて口に入れづらい​
・ツボが浅いがために口に運ぶまでにこぼれそうで不安…。

結局バランスが取れているのが柳宗理のスプーン。深さやサイズもちょうどいい。しかしながら、ある女性社員の、​
– 「柳宗理のスプーンは口からスプーンを抜いたとき、口に当たって痛いです」​
その一言が活路になりました。​

スープストックトーキョーのスープは具材も大きく、口に奥まで入れた後、口の中のスープと具材を逃すまいと自然と口をつぐんでスプーンを引きます。その際に口角(口の両サイド)にスプーンの広い部分が当たるのです。​女性の場合、男性よりも口が小さいため、なおさら違和感を感じてしまいます。​

食べ方も人それぞれ​。

通常のスープスプーンの形は、実は時計に見立てると3時の角度から食べやすいように作られています。​けれどもスープストックトーキョーの場合、多くの商品に具材が入っています。そこで実際にスープを食べながら実験してみると、人それぞれさまざまな食べ方がありました。​
一番多いのは、スプーンの入射角が1時から2時あたり。殆どの人がこの食べ方。あらゆるスープに向いている基本形です。12時なんて人もいます。正面から一気にスプーンを頬張るダイナミックインサート!具材感をダイレクトに味わうことができます。稀にスプーンの横からスープをすする3時の方も。気品ある食べ方で上品さをアピール。具材の少ないスープは食べやすいのですが、具材の大きなボルシチやカレーはどうやって食べるのか気になります。​3時食べの社員曰く、「具材のあるスープは食べない」とのこと。確かにそれなら無問題。​

怒涛の“試す”作業で見えてきたのは、​お客さまは各々さまざまなスタイルでスープを楽しんでいるということ。「スープ屋」として、そのいずれにも対応できるようなスプーンを検討する必要があったのです。

「心地」の追求が始まりました。​

スープストックトーキョーはファストフードなので、基本的に使う食器はスプーン一本。​具材を切ったり、カップからスープをすくったり、口に運んだり、全てをこの一本で完結します。さらに言うと、私たちの商品であるスープとの接点はすべてこのスプーンからはじまるのです。

だからこそスープの味を違和感なく感じられる、黒子のような存在、寧ろスープをよりおいしく食べるための名脇役となるために、あらゆるヒトのあらゆるスープの食べ方を検討し、「持つ心地」「切る心地」「すくう心地」「頬張る心地」「抜ける心地」をコンセプトに、スプーンの開発を行うことに決めました。​

燕三条の職人技が実現した 唯一無二のスプーン

​スプーンの開発は、新潟県・燕三条の職人とともに進めました。燕三条は古く江戸時代初期から日本の金属加工産業を担ってきた産地。今でも職人の手作業で作られる製品も多く、スープストックトーキョーのスプーンも匠の技の結晶によって出来上がっていきました。
試作を重ねては試用し、職人と話しながらまた試作をすることを幾多繰り返し、ようやく完成。実現したスプーンは、一見どこにでもあるデザインですが、使ってみると実感できるスープのための唯一無二の逸品となりました。

client: Soup Stock Tokyo

Member:
CD:野崎 亙
PM:原田 理恵